2010年5月25日火曜日

行列の講義

火曜日は、弘前大学では「21 世紀教育」というなかなか恥ずかしいネーミングで呼ばれている、いわゆる一般教養の講義で、連立1次方程式、行列式、固有値・固有ベクトルを教えています。この講義は制度的に致命的な欠陥があります。受講する学生さんの学部が、

人文、教育、医、農業生命

という、要するに「理工学部以外全部」という状況で、文系理系ごちゃ混ぜ、受講生の予備知識を考慮した形跡がゼロな状態です(笑)。毎年、講義のあとで教員に配られるアンケートで、改善するようにお願いしているのですが、4年間無視され続けています。

たまりかねて、シラバスに「数Ⅲ・C程度の予備知識を仮定する」と、記入するようにしたのですが、 現実的には、登録すれば受講できるわけですし、何よりも、教育の数学の学生さんには受講してもらわなければ困るので、結局、シラバスのその記載は大して効力を発揮していないように思います。

そういうわけで、講義のレベルをむやみに上げるわけにはいかないので、必然的に、医学部の方々にとっては楽勝科目になり、医学部医学科の受講生がここ数年で異常増殖しています。成績がとりやすいという情報が代々伝わり始めたのかもしれません。成績によって専攻が決まってしまうというような事情があるのか、それとも、やはり、今までシビアな競争をくぐりぬけてきたからなのか、成績に関して他の学部の学生さんよりも敏感である上、成績をとるために勉強している、という感じの学生さんの割合が比較的多いように感じるときがあります。これは、学部の違いというより、いつもの少人数の講義と、大教室での多人数の講義の違いかもしれませんが。

授業中に演習は行いますが、それはあくまでも試験の得点にプラスするだけ、と、アナウンスしていますし、講義の情報は全部HPに掲載していますから、授業に出ない学生さんも結構いて、登録が 90 数名なのですが、大抵の日の出席者は 70 名前後です。

今日は、最初の時間以来初めてやってきた学生さんが5,6人いて、びっくりしてしまいました。そろそろ連立1次方程式に入ってきて、受験勉強の延長の知識だけでは対応できないと思い始めたのか、はたまた、今日がレポートの提出締め切り日だったからなのかは不明ですが(笑)。

まあ、この講義は、特に、ここでしか聞けない話題があるわけでもなく、こちらが想定しているだけの知識と技術を身につけてもらえれば、自分で勉強しても構わないと思っていますので、出席しないのは全然構わないのですが。

教育学部の学生さん達は、教員に対し、全幅の信頼をおいている、というと大げさですが(笑)、こちらがうまく教えられずに混乱してしまった場合でも、自分達のせいで理解できないんじゃないか、と、思ってしまうくらいの生真面目さな方がかなりいます。そこまで信用されると、こちらもしっかり教えなければなあ、と、いつも思っているのですが、その反面、話をきちんと構成して、自分ではもの凄く見事に説明しきったつもりでも、うまくいかないときと同じ反応だったりして(笑)、私だけが満足してしまうときがあります。

医学部の学生さんは、勉強好きな方と、要領と受験勉強の余力で乗り切ればいいや、という方が、割と両極端な印象をうけます。数学が好きな方は非常に熱心なうえ、やはり、高校や予備校での授業の場数も、他の学部の学生さんよりも多く踏んでいる方が多いので、こちらがうまく説明しているときは、それに応じて反応がよくなるので、講義をしていて新鮮なときがあります。以前、この講義のアンケートで、「数学の真髄を学ぶことができた」、とか、「医学部の学生も、もっと数学を学べるようなカリキュラムにしてほしい」とか、書いていただいたときもあります。カリキュラムに関しては、自分の受講クラスもどうにもできない私に言われても困るのですが(笑)、もちろん、そういっていただくのは嬉しかったです。

学部によってカラーが違うのは結構面白いのですが、それでも、楽勝になって受講者が雪崩れ込まないよう、受講の学部は分けてほしいなあ、とは思います(笑)