月曜日は朝からレポートの提出や質問があって、講義前に準備ができそうにないのと、質問の予約があったので、今日は休日出勤していました。
そんな調子でばたばたしていて、配布されたから 10 日ほど経ってしまいましたが、前期のアンケートの自由記述について、こちらのほうの考えも述べておきます。といっても、改善を希望する点に書かれていたのは主にふたつだけでしたが。
まず、一般教養と専門の講義のアンケートで、「i と j がわかりにくい」と、「i と j を間違えないでほしい」というコメントがひとつずつありました。以前はそこそこあったこの種の記述がここ数年減り続けていて、今回、これだけだったので、努力の成果が出ている、と、勝手に満足してしまいそうですが(笑) そういうわけにもいかないですね。
私としては、気をつけますとしかいいようがありませんが、時間の都合で急がなければならない場合や、黒板の窮屈なスペースに長い数式を書ききらなければならない場合など、どうしても見にくくなってしまう場合は生じてしまいますし、こちらも人間ですので間違いはあります。いつも言っていることですが、黒板が見やすい位置に座る、とか、ホームページに載せてある講義ノートを確認する、とか、それでもわからなかったら質問する、というような対応も考えていただきたいと思います。 居直るみたいで申し訳ないのですが、おそらくこれから、どんな偉い先生の講義を聞いたとしても、それが全く間違っていないということはありえないと思います。 そのとき、自分でそれを訂正するということも絶対に必要になります。
もうひとつ、一般教養の行列の講義で、「進行がはやくて、ついていけなかった。演習量をもっと増やして実践的な演習をしたかったと思う。」というコメントがありました。
まず、進行の速度ですが、私のほうで中間試験のときにとったアンケートでは9割ほどの方が適当であるという回答をしていました。後半、きつくなったということもあるのかもしれませんが、他の方からはそのような指摘はなかったので、大半の方はそうは感じていなかったのではないかと推察されます。 また、要求されている単元をすべて解説するには、この速さでもぎりぎりです。速度に関しては変えようがありませんし、変える必要はないと考えています。
次に、「実践的に」ということが何を意味しているのかよくわからないのですが、演習量を増やして、と書いてあるところをみると、計算の方法だけを(証明抜きで)教えて、計算練習させてくれればよかったのに、ということかもしれません。 しかし、それは本当の意味で 「実践的」ではないと思います。
定義→定理→証明というスタイルが理屈ばかり教えている、という風に感じられたのかもしれませんが、この講義では、基本的に、行列やベクトルの演算を定義して、必要な計算方法について、どうしてそういうことができるのか、ということしか説明していません(線型独立、従属のような、本当は勉強しておきたいことも省略しています)。
講義で扱ったことは、「これだけ知っていてそれを機械的に繰り返せば大丈夫」という話題ではありません。 計算方法だけを説明すると、極端な話でいうと、サラスの方法を4×4行列で計算する、とか、固有値が重複しているのに固有ベクトルを並べて対角化しようとする、というように、見覚えのある間違った方法を使ってしまう、ということや、連立1次方程式の計算をはき出し法で行うかクラーメルの公式を使うかを判断できない、ということになりかねず、適当な方法を選んだり考えたりすることができなくなり、かえって「実践的」ではなくなります。
加えて、これは講義でお話しましたが、私自身は講義中に長い時間を割いて演習をするのは、あまり建設的ではないと考えています。方法を身につけたり、問題を解いたりするのに必要な時間には個人差がある上、数学の演習の多くはとにかく一度解答までたどり着いた後にそれを検討して反省するということをしないと、効果が半減するからです。15 分の時間で練習問題を解いていただいたとき、10 分で解ける方には 5 分が無駄になるし、20 分かかる方にとっては不完全燃焼で、そのまま放置したら達成はほとんど得られないと思います。実際に計算できることを確認するために演習問題は出題しますが、講義での問題のほとんどは、例題を真似して計算すれば答えが出る類題です。それ以上複雑な問題は、自分のペースで行うようにレポートで出題しましたし、そのつもりでレポートに取り組んでください、と説明したと思います。
もしかしたら、「実践的に」というのは、ご自分の専門で使うことに則して、という希望なのかもしれません。しかし、この講義は一般教養として数学の考え方を学ぶ、という目的もあります。さらに、人文、教育、医学部保健学科、農生という複数の学部の学生さん達が受講していますので、何かの専門の内容にあわせて特化することは不可能です。クラス分けに関しては私には権限はありません。後輩のために学部ごとにクラスを分けたほうがよいとお考えでしたら、しかるべきところに希望を出していただけたらと思います。
明日から、また、さらにばたばたし始める予定ですので、おそらく、しばらく、ブログの更新は止まるかと思います。その前に、とりあえず、前期の講義に関するコメントについて、こちらからもお話しておこうと思って、これだけ書いておくことにしました。