2013年5月27日月曜日

おすすめの本 2冊

案の定、1週間以上ブログの更新ができませんでした。 その間の雑用のグチやら恨みつらみやらは改めて吐き出すことにします(笑)

出勤して事務のメールボックスを覗くと、生協が出している読書推進のための「読書のすすめ」冊子が入っていました。昨年、取りまとめをなさっている先生から、理系の方々にも本を紹介してほしいという依頼があって、物理、化学、生物の先生と一緒に、私も数学の本をお薦めすることになったのでした。そのとき居合わせた他の3分野の先生が若く、私だけがややトウの経った、という感じになってしまい、取りまとめの先生のご紹介の文章の中で、他の先生を「若手」と称した後、もはや若くない残り1名を景気よく見せようとご苦労なさったようで(笑)、私のことを

もうちょっとベテランで、しかも素敵に頭のよい数学者

と書いてあって、ぎょっとしてしまいました。これは確実に褒めすぎです。私のことをご存知の方がこれを見たら吹き出すだろうなあ、と思うとかなり恥ずかしいことではあります。

それはともかく、寝ながら読める、とかいうのではなく、じっくりと読めるものを、という主旨で、他の先生方の推薦した本を拝見すると、物理の先生からはランダウ=リフシッツの「力学」、生物の先生からはシュレーディンガーの「生命とは何か」とういった感じで、私も、オーソドックスな古典的名著にしようかなあ、と思ったのですが、詳しい本は大学初年級の方々が通して読むのはちょっときつくなってしまいそうですし、一方で、最近の教科書的な本は、半期 15 コマ、とか、通年 30 コマ、といった講義で使える、というシバリができてしまって、こういうところで推薦するにはのびのびした趣きに欠けてしまうかなあ、という気もしないでもありませんでした。一人で読むことを前提とするならば、むしろ、教科書的に分野がきっちり固定されていないで、しかも、ノートを取って、計算したり、証明をチェックしたりしながら読めるものがよいのではないか、と、思うことにしました。

もうひとつ悩ましいのは、数学の思考法がどのように形づくられるのか、といった感じのものがよいのか、それとも、数学がどのように現象の理解に関わるか、という種類のものがよいのか、ということでした。結局、取りまとめの先生にお願いして、両方のタイプの本を1冊ずつ、ということにしました。

ということで選んだのは次の2冊です。無料の冊子の文章なので、おそらく、こちらに転載しても大丈夫かと思いますので、私の紹介文も合わせて載せておきます(もし、権利的(?)にまずいようでしたらお知らせください >  関係者の方々)

遠山 啓 著、「代数的構造」(ちくま学芸文庫) : 思考のパターンや手続きが形になってゆく様子が実感できます。代数ってなぜあんな抽象的な記号が出てくるんだろう、と、疑問に思っている方に是非よんでいただきたいと思います。

武部 尚志 著、「数学で物理を」(日本評論社) : 数学によって現象を理解するとはどういうことなのかを体験できます。物理の話題を通じて、講義では無味乾燥だったかもしれない微積分や線型代数に対し、今までと違った活き活きとした感じを抱けると思います。


機会があったら、じっくりと証明や計算を追いながら読んでみていただけたら、楽しいのではないかと思います。・・・と書きながら、リンクを貼るのに日本評論社のページを見たら、2冊目の本が「品切」になってしまっていますね。早く増刷されればよいのですが。

附記(2013/05/28) : 「数学に物理を」の著者の武部先生がこのブログをご覧になってメールをくださいました。有難うございます。 今のところ増刷の予定は無く、出版社の在庫は僅少になっているようです。こんな面白い本なのに残念です。大きい書店ではまだ書架に並んでいることがありますので、関心のある方は急いで入手しましょう(!!)