昨日も騒いでいた免許更新講習について、とりあえず、テキストは作成して取りまとめの先生に提出しました。講習に関して、あとは、当日までにパワーポイントのプレゼンテーションファイルを準備しなければなりません。明日は大学院のセミナーなので、ファイルの準備は講習の前日の 27 日になりそうです。
小学校の先生方相手に算数・数学の話をします。私の役目は、小学校算数の話題のどれかについて、その背景になる考え方を説明して、先生方が実際に手と頭を使ってそれらを確認できるようにすること・・・、だと理解しているのですが(笑)。
更新講習で話をするのは、昨年に続いて2回目で、前回は幾何について、掻い摘んで言うと、「考えている量を不変にする変換が大事なのだ」 ということを話しました。今年は倍数について話をします。ポイントは「倍数の集合はイデアルなのだ」ということです(笑)。
数学を勉強している方ならばこれで話が済んでしまうのですが、さすがにそうはいかないので、その構造からなかなか面白いことがわかりますよ、ということを、パズル的な事柄を使って説明することにしています。
というと、何か色々と工夫を凝らしたみたいな言い方になってしまいますが、例年、私が学部で行っている小学校の先生になる学生さん向けの話題とほぼ同じです。実は、高校生向けのミニ・レクチャー、学部向けの講義、市の教育委員会の指導力向上講座で、この話をしているので、もう4回目です。市教委の講座でのウケが、他の話をしたときに比べてよかったようで、とりまとめの先生から、あの話がいいんじゃないですか、と言われたのですが、マンネリ化してきているかなあ、という不安もあります。違う話題も仕入れなければと思うのですが、なかなか鉄板で、テーマともスムーズに繫げることができるネタなので、結局、これに落ち着くことになってしまいます。
同時に、ウケがよい、ということをちょっと警戒もしています。というのは、ちょっと意地の悪い言い方をすると、受講する先生方は、そのまま授業で使える児童が喜ぶパズルを手に入れた、ということに満足してしまうのではないか、という気もするのです。私としては、先ほど述べたように、基本的な構造を認識して物事を関連付けることの大切さを伝えているつもりなのですが。児童には、まだ、そういう視点を要求するのは難しいかもしれませんが、先生方が意識しておく必要はあると思うのです。それをものにすれば、例えば、面白い教材を自ら開発することもむずかしくないはずです。
今の学部に勤めるようになって、初めて、現職の先生方相手の講義をすることになったとき、本屋で、今まで立ち寄ったこともなかった算数・数学教育関係の書棚に行ってびっくりしてしまったことがあります。並んでいる本のかなりの割合が、使える指導案、とか、そのままコピーして配れるワークシート、などで、数学教育の理論や研究、啓蒙といった本が余りみあたらなかったのですね。丸善の丸の内店で、遠山啓の本を買おうとしたら、本棚のてっぺんの列の片隅においてあったことがありました(笑)。
そういえば、かなり前のことで、どんな団体だったか詳しく覚えていないのですが、とある教育関係の会合のホームページが目に入って、えっ? と思ったことがありました。そのときのテーマが、現場でのユーモアについて、というようなことで、面白い話をすると児童・生徒と打ち解けられる、とか、こうすれば面白い話ができる、ということを、先輩の先生や、心理だったか生理だったかの学者の方、そして、お笑いの方などを呼んで、講演を開いていたのです。
児童・生徒の心を掴むのに一所懸命なのはよくわかるのですが、やっぱり、何か違和感を感じてしまうのですね。私見ですが、教員が語るときのユーモアは、別に無理して作るものではなくて、相手のありように共感することを楽しむ感受性と、それを嫌味なく表現する言葉のセンスから生まれるような、人間性から巧まずに出てくるものだと思うのです。人並みにお笑いは大好きで、テレビでやっていると熱心に観るのですが、あれは、どんなに自然に見えても本当は非日常で、だから、尋常でなく面白いのでしょう。条件反射的に自然に見せて、瞬時に笑いをとるには、天性の才能と、何年もかけた努力が必要だと思うのです。そういう話を何時間か聞いたとしても、普段のコミュニケーション、ましてや、教員と生徒の間の会話にすぐ使える、とは思えないのですが。
教育事情が切迫していて先生方がいろいろなことに追いまくられ、理想論を言っている場合ではなく、目の前のことを即座にどうにか対応しなければいけなくて、教科教育についても、人間教育についても、本質的なことに集中できないということなのでしょう。でも、そうやって、先生方一人ひとりがじっくりと、自分なりのものを作り上げていく環境が与えられていないという現状は、気になっています。
といっても、私の2時間足らずの講習で、何かが劇的に改善されるとは思いませんが・・・。