2011年6月10日金曜日

Mick Goodrick "In Pas(s)ing"

昨日からこのCDを聴いています。というのは、リーダーの ミック・グッドリック (g) の誕生日も 6 月 9 日らしいので(笑)、何となく親しみを持っていて、この時期になると思い出すことが多いのです。

ミック・グッドリックは、メジャー・レーベルから出ている作品が少なく、広く知られているのは、代表作というべきこの作品のみかもしれません。プレイヤーとしての彼の名前は、70 年代半ばくらいのゲイリー・バートン (vib) のグループのメンバーとして、そのとき同時に在籍していたパット・メセニー(g) とともに記憶されている、というくらいの感じだと思います。

このアルバムは、彼のほかには、ジョン・サーマン (reeds)、エディ・ゴメス (b)、ジャック・ディジョネット (ds) というメンバーで  1978 年に録音されたものです。ECM で多くの個性的な作品を残しているサーマンは、ここでも、ときには清澄、ときには奔放、と、随所に快調なソロをとっていますし、リズムセクションは、この時点では既にそれぞれの楽器の第1人者といってもよい、そして、実に幅広い音楽性を持ち、共演も多い、という二人ですので、力強さ、繊細さ、懐の深さを併せ持った、安定感がありながらもここぞというときにはスリルに満ちている、素晴らしい演奏を繰り広げていると思います。

他のメンバーが示している存在感は、ばらばらになることなく、リーダーのグッドリックの個性として統一されています。彼の演奏と作曲によるものといえるでしょう。自分だけ多くのソロをとる、というようなことは決して行ってはいないのですが、バッキングで随所に見せるコードワークは、アルバム全体を一貫した色彩で染めています。収録された5曲のうち、メンバー全員の共作とされる1曲を除いた全てが彼の作曲としてクレジットされていますが、それらは、新奇さや過激さに流されることもなく、適度に爽やかで、でも決して甘さや安易さにつながらず、ほどよい緊張感を持っていて、当時のコンテンポラリーなジャズのスタイルを持ちながら、見事なバランスを保っています。地味ながらも、繰り返して聴いても飽きることのないアルバムだと覆います。

ミック・グッドリックは、プレイヤーとしてよりも教師として有名らしく、現在は、バークリー音楽院の教授として、若いジャズギタリストを多く育てているそうです。検索をかけてみても、アルバムよりは、むしろ教則本のほうが多くヒットします。後進の育成が大切なのもよくわかるのですが、これだけのアルバムを作れるギタリストなのですから、ご自分のリーダー作ももう少し録音してほしいなあ、と、思ってしまうのですが。

まあ、教えることで手一杯で、全然研究できていない私にいえることでもないのですけどね・・・(爆)。