免許更新講習の試験の採点が終わりました。特に得点が低い方もいらっしゃらなかったようなので、まずは一安心でした。
先日お話したところはやはりその通りで、11 の倍数の判定法を考えてください、という問題で全体の2割から3割程度の方々が、
(99+1)2 = 992 + 2 × 99 +1
という展開をして、11 の倍数分を括りだす、というところが通じなかったようです。実は、私の担当時間は午前中で、この問題については、午後の試験までにこのようなことを考えておいてくださいね、というように出題しておいたのでした。それで、受講者の方々同士で教えあっていたようなのですが、途中で、情報が劣化したところがあり、さらにそれを修正できなかったのか、書き間違いが伝染していたグループがあったのです。その他、この計算をする途中で、式変形があやふやになってきたり、面倒になったりしたような答案も結構ありました。これは、小学校の先生方にとって当たり前の話ではなかったのだ、と、改めて感じました。
算数教育に関しての議論が起こっていて、そのある部分は、小学校の算数での教育方法と、大人になってから身についた数学の感覚が違う、ということが原因になっているように思います。正直に言うと、今回扱ったくらいの計算が自然に思えるくらいの習慣がないと、数や式が何を表しているのかを自らの経験から推し量ることはかなり難しいのではないかなあ、という不安があります。どのような感覚を涵養し定着させることを目標にしているのか、を教える側が実感していないと、抽象的な、というか、見栄えの良い言葉が並んでいる「教育理念」を読んで、何かの「教育方法」を繰り返し行っても、それらが自己目的化してしまうだけで、数学を認識する土壌を作ることはできないでしょう。
ただし、これを小学校の先生の怠慢、もしくは(自分の偏狭な価値観を押し付けている、というような)人格的な問題として非難すれば済むとは思えません。先日も書きましたが、基本的に全教科を担当する小学校の先生方の個々の努力で、専門的な知識を身につけるべき、というのは、現実的な考え方ではないように思われます。小学校における教科教育の質をどのように担保していくのか、という問題は、教員養成や就職後の研修、現場での先生方同士の、もしくは外部の専門家との連携など、もっと大きなシステムの中で考えてゆくべきなのではないかと思うのです。