2011年8月24日水曜日

Bud Shank "Windmills of Your Mind"

バド・シャンク(as)がミシェル・ルグランのレパートリーを、ルグランが編曲・指揮・ピアノ演奏で参加したオーケストラをバックに演奏する、という 1969 年録音の作品です。

ミシェル・ルグランのオーケストラをバックにしたアルトサックスのアルバムというと、フィル・ウッズ (as) の "Images" が有名です。 1975 年、フュージョン全盛期に不遇を囲っていた(?)フィル・ウッズが思いの丈をぶつけた熱さと、ルグランの華美なオーケストレーションがマッチした、ロマンティックなこのアルバムを私も愛聴していました。 それで、ルグランの曲を、自身の編曲・指揮によるオーケストラをバックにアルト・サックスが演奏する作品も衝動買いしてしまったのでした。

ナイロン弦のギターを弾いていたことから、ローリンド・アルメイダ(g) のアルバムをよく聴いていたので、彼と共演の多かったバド・シャンクは自然と慣れ親しんでいました。 彼らと、シェリー・マン (ds)、レイ・ブラウン (b) をメンバーとする L.A.4 のアルバムは、ジャズを聴き始めたかなり初期に購入したので、バド・シャンクのアルトは、私が初めて聴いたジャズらしいサックスだったのではないかと思います。

とはいうものの、バド・シャンクについて書こうとすると、実は、ちょっと困ってしまいます。彼と同年代くらいのアルトサックス奏者は個性がわかりやすく、乱暴な言い方になりますが、ジャッキー・マクリーンなら「哀愁」、フィル・ウッズなら「熱気」、キャノンボール・アダレイなら「流麗」、アート・ペッパーなら「天才的閃き」、リー・コニッツなら「クール」(後期は違ってしまいますが)、 ポール・デスモンドなら「美しいソフトな音」・・・、みたいに、端的にそのスタイルを形容できるような気がするのですが、バド・シャンクについてはそういう言葉が見つからなかったのです。もちろん、無個性だということではなく、彼ならではの音とスタイルがあるのですが、クールでちょっとメカニックながらも無機質にはならずに程よい温かさがあって、スマートな感じもありながらがっちりとしていてやわなところがない、というような、スーツが似合うスポーツマンタイプの清潔感あふれるビジネスマンみたいに思えてしまう(笑)という、個人的にはそんなイメージを持ってしまっています。

バランスのとれたクリアな演奏でびしっとまとめられていて、いかにも、ウェストコーストだなあ、という感じです。このアルバムも、最初に出てきたフィル・ウッズのアルバムも、1曲目が "Windmills of Your Wind" で、どちらもテーマの部分は端整に吹いているのですが、アドリブになると、もろにそれぞれの個性が出てくるのが、面白く感じられます。

ルグランのオーケストレーションはいい意味でいつもどおりで、ちょっと美々しく、端整で、それでいて、細かい仕掛けがあって一本調子にも堅苦しくもならない、というところで、流石に自分の作曲した歌曲のメロディーの聴かせどころをうまく演出しています。

また、ルグラン自身のピアノだけでなく、アーニー・ワッツ (ts)、 コンテ・カンドリ (tp)、ハワード・ロバーツ(g)、レイ・ブラウン(b)、シェリー・マン(ds) と、西海岸を代表する、といってよいような豪華なメンバーがバックに入っていて、オーケストラが実に活き活きしているのも、このアルバムの魅力です。