仕事用のHPに加筆しようと書いた文章です。
以前は、本を読んだりセミナーをしたりするのは、数学を勉強するものにとって当たり前のことで、その理由を説明する必要があるとは到底思っていなかったのですが・・・(苦笑)
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時々、数学の勉強を、「頭の中に地図を描いてゆくこと」に例えるときがあります。
見知らぬ街についても何もわかりません。私も、最初に弘前についたときはそうでした(笑)。それでも、まずは大学に行けるようにする、次に、お城に行けるようにする、・・・、というようにポイントになる場所への道順と、加えて、それらの位置関係を理解すれば、街の大まかな形が呑みこめてきます。そうしているうち、毎日通る道は無意識に行き来できるようになり、大学とお城の中間くらいに五重塔があるよ、といわれたら、それなら、きっと、あの角を曲がればいいのだろうなあ、などと、思いつくようになってくるわけです。
数学の勉強もそんなもので、ポイントになる箇所を行き来しているうち、自然に土地勘が身についてきて、さらに、それらの関係が見えてくると、これを考えるためにはこの道を辿ればいいかなあ、という見当がつくのではないかと思っています。
その例えを引っ張ると、講義、というのは、さしずめ、観光ツアーのようなものです。大勢の学生さん達を一緒に、教員が、ガイドよろしく、あちこちの名所に連れまわします。名所についたら、じゃあ、この辺を散策してください、とばかりに、レポート問題を出したり、試験をしたりするわけです(笑)
観光客として街を訪れるだけならば、名所旧跡の風景に触れて満足していただければそれでよいのですが、これから皆さんが数学に関わってゆく、というのは、街に住み着いて、生活するようなものです。スーパーに買い物に行ったり、銀行でお金を下ろしたり、仕事であちこち廻ったり、と、必要な場所には一人で行けるようにならなければなりません。
さらに、数学の教師になる、というのは、皆さんご自身がガイドになる、ということでもあります。かつて自分がお客として参加したツアーの道順しか知らず、この道を先まで行ったら何があるのでしょう?、とか、○○っていう場所は何処なのでしょう? などと聞かれても答えられず、挙句の果てに、いつもの道が区画整理で変わってしまったら別のルートを知らずにまごまごする、ということでは、いくら説明が上手でも、到底つとまらないでしょう。
まずは、地図とガイドブックを片手に自分の足で街を歩いてみる経験が必要です。一人で歩く機会も大切で、それはそれで大いにチャレンジしていただきたいのですが、ときとして、市役所を裁判所と勘違いしているのに気づかなかったり、一人合点していた道順が行き止まりなのを知らないままだったり、ということもあるかもしれません。 他の人と一緒に道を確認しながら歩いてみる、という経験もとても重要です。それにあたるのがセミナーなのです。
テキストに従って自らが歩いてみることが目的だ、ということを忘れないでください。卒業研究に付随するセミナーは指導教員について行いますが、講義と違い、教員は、皆さんを連れまわす役割ではありません。ルートを見つけようとする皆さんの後について、その道が正しいかを一緒に確認するだけです。 皆さんが信号無視したり、立入禁止区域に入ろうとしたりするときは(笑)止めるかもしれませんし、道に迷って途方にくれていたら助言をするかもしれませんが、先に立って歩くのはあくまでも皆さんです。