例年より、講義もやや減り、昨年度の悪夢のような雑用からはかなりましになったので、少しはゆったりとできて、あわよくば、僅かながらでも落ち着いて数学をする時間ができるのではないか、と、淡い期待をつないでいたのですが、思わぬ伏兵(笑)がありました。 今までにないことに、週3回、ゼミが入っているのです。
何度かこのページでも書いたとおり、数学教育講座随一の不人気教員で、以前は、2年続けてゼミ生ゼロ、というときもあったほどですので、このような事態になることは想定していませんでした。今も、人気があるというには程遠い状況なのですが、何故か、修士2年、学部4年、学部3年と、3年にわたって、きれいに1人ずつ学生さんが志望してきているのです。 予備知識も志望も違い、それぞれ、学生さんと相談して希望に沿ったテキストを選んでいるので、どこかをまとめるわけにもいかず、マン・トゥー・マンで3回ゼミを行うことになります。
だいたい、1回当たり、3時間くらいセミナーをしています。学生さんも大変で、これが、ニシザワゼミの評判が悪い一因でもあるのですが(それはあくまでも一因であって、他に、指導教員の人格とか、冗談がつまらないこととか、もっと本質的な要因があるでしょ、という指摘は即却下します(笑))、かくいう、センセイ役のほうも結構しんどいのです。 学生さんが発表するのを、ふんぞり返って聞いていて、時折、ご下問していればよい、というわけにはいかず、そこはどうして? と聞いて、学生さんがフリーズすると、冷徹に眺めているふりをしながらも(笑)、これは一人で考えつくかなあ、もう少し、黙っていたほうがよいのかなあ、とか、おいおい、頼むからここは何とかしてくれよ、とか、いろいろな思いが錯綜してじりじりしていて、そのうち、堪りかねて、やおら学生さんからチョークを奪い取って、だからさあ、これはこうでこうでこうなっているからああ、と、声を張り上げて説明しだして、結局、発表者よりも多くしゃべって声を嗄らしていた、ということになりがちなのです。 寄る年波には勝てず、講義のときも、90分ノンストップの高速説明&高速板書を終えるとぐったりしているのですが、セミナーは、じりじりしながら黙っている時間も多いので(笑)、別種のくたびれ方があります。
ゼミが終わってへたりこみながら、わざわざ時間も体力も使って嫌われてなくても、何か、もっとジョイフルな勉強の仕方があるんじゃないか、と、思うのですが、少なくとも、私自身は、これ以外の方法を知らないのですね。人から教えてもらえるうちは、流れてくる情報を受け入れていればよいのでしょうけど、自分ひとりで学んだり、考えたりしなければならないときは、本当に理解できているのか、単にわかったつもりになっているだけじゃないのか、と自ら問いかけなければならなくなります。まず、「わかったつもりになっている」自分がどんなものかを実感して、「わかる」ことと何が違うかを実感しなければ、「わかったつもり」と「わかる」の区別が、自分でつけることができないままになってしまいかねません。
まあ、この辺のことに関しては、偉そうに人のことを言えた義理ではないのですが・・・。
この前、助手をしていたときに一緒だった方々と会食したことがありました。四方山話をしていたら、そういう話題になったので、いやあ、今学期、1週間に3つゼミをやらなければならなくなっちゃってさあ、と、言ったら、どうせ、ニシザワさん、1回3時間くらいかけてがっつりゼミするんでしょ、と、言われたので、何で分かるの? と聞いたら、相手の方は何も言わずに笑っていました(笑)