2012年9月21日金曜日

教職入門

教育学部の1年生が受講する「教職入門」という集中講義があり、後半2日間が観察実習とそれについての討論にあてられています。昨日、今日と、その実習で地域の小・中学校に付き添い、討論に付き合うという仕事をしていました。

午前は、8:40 くらいに実習校に行き、2、3校時を参観するスケジュールになっています。授業の中でどういう工夫が行われているかを見出す、というような課題が与えられているようです。

今年度付き添ったのは、算数・数学教育専攻全員と生涯教育課程で教職をとっている学生さん数名からなるグループでした。昨年度の1年生から入試のシステムが変わって、教科ごとの専攻が入学時から決まっているため(それ以前は、小学校、中学校で選考して、入学後に教科に分かれていました)、専攻の学生さんがまとまって実習を受ける形になったようです。小学校では算数、中学校では数学の授業を1コマずつ参観する時間割になっていたのは、その点も考慮してもらったのかもしれません。専攻の学生さん同士はすっかり仲良くなっていますし、私も、数学関係の方々は前期に講義を週2コマ担当して顔見知りだったので、話が通じやすい反面、以前担当したときに比べて、緊張感が足りなくなってしまったかな、という反省はあります。

何と言っても、半年前までは高校生だったわけで、移動中も、ややもすると、テンションが上がって騒いだりしないか、廊下や教室の通行を妨げないか、と、あれこれ心配してしまいます。

また、45 - 50 分の授業を2回、立ちっぱなしでいることがきついようです。見ていると、若い彼ら、彼女らのほうが、寄る年波ながらも、ふだん、90 分の授業をしている私よりもこたえているようで、こういうことも、一つは「慣れ」なのかもしれません。 耐えかねて無意識に壁や窓枠によりかかろうとしてしまいがちなのですが、掲示物が貼ってあったり、ロッカーの上に工作の作品が展示されてあったりするので、傍から見ていると心配になってしまいます。ただ、昨日、今日とそれほど気温が上がらなかったので、暑さで体調を崩す方も出なかったのは幸いでした。

結局、こちらの心配のほとんどが杞憂に終わり、学生さん達は概して常識的に振舞ったようで、ほっとしました。

それにしても、実習校の方々が、これだけの学生数の参観を受け入れて、気を配ってくださるのは有難いことです。関係者の皆様に感謝したいと思います。

午後は、実習校での観察を基にした討論の時間でした。

実は、教育学部に赴任した頃は、実習でとにかく討論が多い上に、それまで体験していた討論と全然違うということがカルチャーショックでした。数学の研究などで行われるように、考える問題が具体的に決まっていて、それを解くためのアイディアを出しあったり、計算する箇所を分担したりする、というようなものが、私にとってのディスカッションのイメージだったのですが、教育関係の討論のテーマはわりと茫漠としていて、まずはそれを具体的に議論するためにはどのように論点を設定するのか、ということから始める場合が多いように思います。極端にいうと、例えば「よい教師になるにはどうしたらよいか?」みたいなテーマについて、まず、「よい教師とは何か」ということから考え始めることになり、それならば、「よい」とは誰にとって「よい」ことなのか? 生徒から?保護者から?同僚から?地域の人から?・・・、みたいなことになり、それから、それぞれの視点に立った「よい」とはどういうことなのか考えて、それらの意味で「よく」なるためにやるべきことはどうしたらよいのかを議論する・・・、みたいなことになるように見えます。そして、そういうことに馴染みのない私は、じれてきて退屈してしまうと、ついついからかいたくなって、あのねえ、君たち、よい教師とは何か考えるのはそろそろ止めて、よい教師になる努力をしたほうがいいんじゃないの? というようなイヤミ をいってしまい、目一杯イヤな顔をされがちです(笑) 

勿論、そういう話し合いによって、多様な視点からの認識を共有したり、集団の意志を一体化したり、ということが教育の場で必要とされていて、教職をめざす学生さん達に対し、こういう討論の練習が行われるということなのでしょうから、茶化してばかりもいられないわけです(笑)  今回のテーマは授業の内容を検討するということなので、さっきの例えほどではないのですが、それでも、参観した授業での先生方の片言や一挙手一投足にどういう意図を見出すか、など、視点や論点の設定をはっきりとして話し合うことが要求される面もあります。

といいつつ、それを見守っているのが前述のような私です(笑) 本当は教育の専門の先生が監督するのがよいのでしょうが、この講義だけではなく、他にも色々実習もあって、教育が専門の先生方の人員だけではカバーできないうえに、そういう先生方は企画立案や実習校との折衝など、仕切るほうの役を担当することになりますので、末端のラインには、どうしても教科専門の教員が入らないと手が廻らないことになってしまいます。そのため、検討に関して、かなりのガイドラインはあらかじめ学生さん達には示されていて、特に異常がない限り、付き添いの教員が積極的に関与しなくてもよいように計画されていました。将来的に専門の先生が教えることと矛盾してしまうと混乱するかもしれないので、私も検討や討論に口をさしはさまないようにしました。また、教育関係の研究の知見はなくても、演習や就職支援関係の討論に付き合った経験から、話し合いのノウハウみたいなものは少しは見当がつくようになってはいるのですが、これについては、まだ1年生でこれから十分に時間もあることだし、天下りにこちらで方法を与えるよりも、試行錯誤して工夫したほうがよいだろう、と判断しました。ということで、結局、最初に班分けをした後は、班に分かれての検討とグループ全体の討論は極力こちらからリードしないようにしました。

と、目一杯、何もしない言い訳をしているようですが(笑)

学生さん達が班ごとに検討しているとき、こんな本を読んで内職していました。授業をこんな風に分析したらどうなってしまうのだろう、と、談論に熱中する学生さん達をよそに、一人でとりとめもないことを考えていました。