先週に展覧会を見に行って、そのときのブログに「後で何か書くかも」というようなことを書いておいたままでした。といっても、そのまま忘れていたわけでもなく、実は、この1週間、ずっと、その印象が残っていて、暇があれば、長谷川潾二郎の画文集や、彼のことを書いた洲之内徹の文章を眺めていたのですが、感じたことがうまく言葉にまとまりません。でも、やっぱり、何かを書いておかないと、ずっと、モヤモヤしたままかなあ、という感じもしますので、どう落ち着くかはわからないのですけど、何回かに分けて、ゆるゆると考えながら書いてみたいと思います。
最初に、どうでもよいことなのですが、以前、この方の画集を買っていました。
さらにどうでもよいことなのですが(笑)、実は、私が画集を買う、というのはかなり珍しいのです。というのも、たぶん、いろいろな権利関係や図版の問題があるのでしょうが、一般的に、画集というのは、展覧会の入場料と図録の代金を加えた金額よりもはるかに高いのです。そして、もうひとつ、写真によってはもとの絵の色彩と全然違うように見えてしまうこともあります。展覧会の図録は、必然的に一度見た絵の写真ですから、その辺の具合も少しはわかる、ということもあります。
それでも彼の画集を買った、というのは、この方のことを知ってから、展覧会が美術館で開催されたのを聞いたことがなかったからです。どころか、画集自体も珍しく、文化村のミュージアムショップで見つけて購入した後、アマゾンで調べてみたら、もう既に品切れでした。後からみると、画廊みたいところでは展覧会はあったみたいですが、いくら偉そうなことを言っていても、そういうところに行くほどの通ではないのです(笑)。
というような状況だったので、この前、書いたように、NHKの「日曜美術館」で、彼の作品が紹介されていたうえに、展覧会が開催される、というので、ぜひ行きたい、と、思ったのでした。
そうして、以前買った画集などを眺めてテンションをあげていたのですが、そんなある日、免許更新講習で青森に行ったとき、昼食から帰るときに、弘前にはない(泣)比較的大きい書店によって、数冊の本を衝動買いしようとレジに持っていったときに、カウンターの後ろに、彼の画文集が乗っかっているのを見つけ、とっさに、あれもください、と言ってしまったのでした。それが、こちら だったのです。よくよく眺めてみたら、これは、展覧会の公式図録兼書籍となっていました。つまり、展覧会に行く前に図録が手に入る、という、いつにないパターンになったのです。
今みたら、この画文集が 4刷で、15000 部を突破しているみたいです。たぶん、この手の本だと破格の売れ行きなのではないでしょうか。
以前から、彼の風景画が好きで、その緑の鮮やかさや土の深さ、空の透明な青さに惹かれていました。ただ、今回、そうして購入した図録を眺めて予習(笑)をしていたら、実は、後期から晩年にかけての静物画も素晴らしいのではないかと思うようになってきました。
その考えは、実物の絵を見たら決定的になりました。
今回、驚嘆したのは、「キャラメル」という絵と、「紙袋」という絵でした。画題のとおり、「キャラメル」というのは、同じキャラメルが5粒、机の上に並んでいるだけで、「紙袋」というのは、何種類かの紙袋がやはり机の上に並んでいるだけなのです。それらは、単に練習とか、手遊びとしてではなく、圧倒的に、「絵」として成立しているものなのです。大げさではなく、それを見たときに戦慄とでも言っていいような衝動が身体を駆け抜けたような気がします。